川口家のしごと

本染めについて

Traditional Dyeing

漁業や造船業の盛んな佐世保・相浦の地で、
数多くの大漁旗を染め、男児の成長を願う節句のぼり、商売繁盛を祈るのれんやのぼりなどを作り、この町の繁栄を確かに支え続けてきた川口家染工場。

創業時から現在まで続く、伝統の「本染め」技法(引染めともいう)による手仕事は、最新のプリント技術でも表現できない、生地の風合いが活きた鮮やかな色が特徴です。

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下絵

下絵紅(したえべに)と呼ばれる紺色の染料で、下絵を線描き。迷いなくスッと伸びやかな線を描きます。寸法を測る竹ものさし(竹尺)も欠かせない道具の一つ。4代目は、地域の春の祭り“あたご祭り”で、竹尺を購入するのが毎年のお決まり。

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のり置き・砂撒き・乾燥

生地の白色を活かす部分(輪郭や文字など)に防染としてのりを置きます。のりは、もち米を炊いたものに米ぬかを混ぜて作る、昔ながらの製法。のり置きが終わると、のりの上に砂を撒きます。砂にのりの水分を吸わせてヒビ割れを防ぎながら、十分に乾燥させます。

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染め・乾燥

伸子(しんし)と呼ばれる竹棒で、布を均一に張った状態にして、染めに入ります。染めはやり直しのきかない作業。絵柄に応じて刷毛をさまざまに使い分けながら、慎重に色を入れていきます。布の裏側にもしっかりと染料が入るよう、あらゆる角度から色の濃淡を観察し染め上げます。染めが終わったら十分に乾燥させます。

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洗い・乾燥

昔は近くを流れる清流・相浦川に布を沈め、石で固定しその流れで洗っていましたが、近年では環境に配慮し、工場内のタンクに一晩つけてから洗いを行います。余分な染料が取れ、のりが洗い流されることで白色がくっきりと表れます。シワが入らないよう張った状態で乾燥させます。

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縫製・仕上げ

アイロンをかけ、ミシンで縫製し装飾などを施して完成です。